2016年11月5日土曜日

筋肉注射と皮下注射の違い インフルエンザワクチン

トロントの長い冬が近づいてきました。
もう始まっているかもしれません。

さて、こちらでも冬の間インフルエンザ予防は重要になり、予防接種が行われています。
ホームドクターなどにかかれば子供への接種を勧められると思います。

予防にはワクチン接種が最も有効です。
タミフルなどの抗インフルエンザ薬を発症直後に飲めば大丈夫という考えは間違いです。
ワクチンが最も予防効果が高いうえ、発症事態を防ぐことができます。
抗インフルエンザ薬は発症後飲んでもその間、インフルエンザ菌をまきちらし家族内に感染を起こします。
少し古い知識ですが、最も重症であるインフルエンザ脳症の発症をタミフルで防げないとなってました。(10年くらい前の知識ですが。)

インフルエンザワクチンですが日本とは違い、鼻からの噴霧薬があります。
子供ですと注射しなくて済むのでいいですね。
ただ、アメリカではこれは効果ないんじゃないかということで今年の接種は非推奨となってます。
ここらへんはまた詳しく書きたいと思います。

こちらトロントではインフルエンザワクチンの注射は筋肉注射となってます。
いっぽう、日本では皮下注射です。

なぜ??と思ったので少し調べてみました。

世界的にインフルエンザの予防接種は筋肉注射が推奨されてます。
皮下注射は適切な投与では無いとなっています。

理由は様々ですが、一番の理由は皮下注射では免疫の獲得が弱いということです。

皮下注射と筋肉注射の違い

両者の違いですがもちろん接種する場所が違います。
そして多くの方が 筋肉注射 = 痛い というイメージがないでしょうか?
これはあながち間違いではないです。
筋肉の方が深いところにありますし、使用する針も少し太くなります。

この二つの違いは血流量が大きく違います。

当然、いっぱいエネルギーを使う筋肉のほうが血流が豊富です。
この違いで吸収が異なります。
血流が多い筋肉のほうが、吸収が早いということです。
刺激的な薬剤であると、筋肉の方が早く吸収されるので不快感は少なくなります。

不活化ワクチン・生ワクチン

インフルエンザワクチンですが現在、不活化ワクチンという生きていないウイルスのワクチンです。
不活化ワクチンは弱毒化して生きている生ワクチンより効果が弱いとされています。
(鼻から噴霧するタイプのインフルエンザワクチンは生ワクチンです。)
そのため不活化ワクチンは血流が少ないと十分な免疫細胞を誘導できず、免疫が獲得できないことがある。という理論が一般的のようです。

なぜ日本では皮下注射??

インフルエンザワクチンの添付文書

【用法及び用量】
0.5mLを皮下に、1回又はおよそ1~4週間の間隔を おいて 2 回注射する。

つまり日本では皮下に打つことしか認められていないということなんです。
そして、日本では過去に筋肉注射を行っていた時代に大腿四頭筋拘縮症という副作用が問題になったことがあり、筋肉注射を避ける風潮があります。

しかし、世界保健機構や様々な医学論文において、いくつかのワクチンは筋肉注射が推奨されています。(もちろん皮下でいいワクチンもあります。)
日本の事なかれ主義が悪い方向に働いてしまってますね。

余談ではありますが、日本では医療に対する完璧を求めすぎる傾向があると思います。
人間生きている以上、医療に完璧を求めるのは当然です。
しかし、それは不可能ということを認識しないと医療が委縮してしまいます。
様々なワクチンに副作用があるのは当然であり、効果と副作用を天秤にかけて医療を行っているわけです。
一部の人に副作用がでたとしても、それ以外の多くの人がその治療の恩恵を授かっているのです。
これにより、薬剤自体の使用が中止されてしまうと恩恵を受けてた多くの人が損をしてしまいます。
このような傾向はワクチンや抗がん剤に多いと思います。
もちろん効果を偽って発表するとか悪意に基づいたものは論外ですが。(日本でも製薬会社とある大学が結びついて大きな問題になりましたよね。これって果たして適切に罰せられたのでしょうか?とんでもない事件ですよね。)

実際打ってみるとどうか?

さて筋肉注射ですが実際打ってみるとどうかというところです。
まず痛みですが皮下とあまりかわらないかちょっと痛いくらいです。
けっしてわめくほどの痛みでは無いです。
私も筋肉注射が痛いと思ってましたが、そんなこと無いですね。
今まで自分が打つ方でしたが、考えてみるとわめいた患者さんは一人もいませんでした。
筋肉注射が痛いというのはむしろイメージが先行しすぎていると思います。

皮下注射だと打ったところが数日間腫れて痛いようなかゆいような感じになります。
筋肉注射だとこの程度がかなり弱いです。
しかし、筋肉に打つので皮下とは違った痛みがあるのと手を動かすときに痛みがでやすいです。
腕の動きはまったく問題ないですが、動かす時に少し違和感があるので精密な仕事をしている方はちょっと注意したほうがいいかもしれません。

ということで調べてみると、インフルエンザワクチンは筋肉注射の効果が高いということです。
皮下注射に効果が無いということは無いと思います。
なぜなら日本でも予防接種した方のほうが断然発症は少ないですから。
でも皮下注射しか認められていないのはなぜなんでしょうか。
ちょっと考えてみてもらいたいですよね。
少なくともこれはお医者さんのせいではないです。
だってこれを決めるのは役人ですから。

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