2017年8月15日火曜日

吸入インフルエンザワクチン

 インフルエンザはカナダでも日本と同様に冬の風邪の原因として一般的であり、感染を防ぐため予防接種が普及しています。

 オンタリオ州では予防接種が無料で受けられ、Rexallなどの薬局でも受けることができます。(もちろん年齢や持病などでかかりつけ医でないといけないというケースはあります。)

吸入ワクチン

 さて、カナダ(というか北米)では吸入式のインフルエンザワクチンがあります。

 ■名称:FluMist
 ■対象年齢 2-49歳(カナダでは2-59歳)

 このFluMistですがアメリカ疾病予防管理センターが2016-2017のシーズンにFluMistを使用することを勧めないという判断をしております。(コチラ)

 その理由としては2-17歳を対象とした最近の調査の結果、従来の注射式では63%の人にに効果があったが、吸入式ではわずか3%の人にしか効果が無かったということです。

 この研究において、3%は統計学的に言えば”効果がある”とは言えない数値になります。

 これより前の研究では、吸入式ワクチンでも46-58%程度の効果があると報告されており、この結果ですと注射方式の結果により近くなります。

どう解釈するのか?

 さてこの結果をどう解釈すればいいのかということになるのですが、

 ・吸入ワクチンはどこまで効果があるかまだわからない、効くかもしれないし効いて無いかもしれない。(しかし、ある種類のインフルエンザウイルスには効きにくいことはわかっている。)
 ・従来の注射式のほうが吸入ワクチンより効果が高いことはほぼ間違いないだろう。

 ということになります。(これ以上のことは現状の研究結果から導き出すことは困難!)

 吸入ワクチンのメリットは注射をしなくていいという点のみですが、子供にとっては注射よりも吸入のほうが楽ですよね。

 インフルエンザは健康な人にとっては熱がある時は辛いですが、死ぬことはあまりありません。(もちろん0%では無いですし持病がある方や年齢によってはそこそこ上がります。)

 日本ではインフルエンザは個人個人で受けるかどうかを判断することからその重症度を想像することができるでしょう。(一方、日本脳炎やジフテリアなどの予防接種は必ず受けますよね?)

 ほとんど死ぬ病気なら間違いなく効果が高い方を選ぶでしょうがインフルエンザはそうでもないので迷うところです。(それと発症を100%防げるわけではなく、注射してもかかる人がぼちぼちいますよね。)

 稀ではありますが脳症などの後遺症や死にいたる病気を起こすこともある病気でもありますので、結局のところその確率を天秤にかけ、どちらを選択するかというのは個人個人の判断になってしまうと思います。

 大人は特に問題なければ、現在では注射式を受けておいた方が無難と考えられます。

 子供ですが結局はかかりつけ医と相談して(というかかかりつけ医の勧めで)決めるということが多くなってしまうかと思います。

 両方選べるなら、うちは例年通り吸入式を選ぼうかなと思います。



将来的には

 ちょうどこの時期に"The Lancet"という医学系の超一流雑誌に"The safety, immunogenicity, and acceptability of inactivated influenza vaccine delivered by microneedle patch (TIV-MNP 2015): a randomised, partly blinded, placebo-controlled, phase 1 trial"という論文が乗りました。

 マイクロニードルと言うシールに細かい針がついたようなテープを貼るもので、痛みがほとんど(まったく?)ないもののようです。

 まだ、安全性が認められたという段階で普及するにはもう少し時間がかかると思いますが、子供たちが大人になるころには今のような注射で行う予防接種は無くなっているかもしれませんね。

 これ、テープはるだけなので医者や看護師でなくてもできるというメリットがあります。

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